ジム・クラス・ヒーローズは、オレの逃げ場。オレのセラピー、オレの愛人(笑)。

文:宮原亜矢

ジム・クラス・ヒーローズ(GCH)って何もの?ヒップ・ホップ・バンド?それともロック?ポップスの世界を含め今や様々なジャンルにおいても存在感を発するようになった彼らの音楽は、どうやって作り上げられていったのだろうか。新たな編年史的アルバムを作ったGCHの中心人物トラヴィー・マッコイ(vo)にその答えを聞いた。

――今回は『THE PAPERCUT CHRONICLES』(2005年)の続編になりますが、1から約6年で2を出した理由とは?
「これがGCHだってことを示した大切な作品だった。ほとんどの曲は高校時代に書いたりしたものだったし、3日間4〜500ドルでレコーディングしたんだ。あの作品のおかげでレコード契約をゲットしたわけだけど、契約したらまたアルバムをレコーディングし直さなきゃいけないと思ってた。大きいスタジオで、大金かけて、全曲録り直し!みたいなさ(笑)。それなのに、あんな質素に作ったまんまで、アルバムは成功し、GCHの名前が広まった。オレたちがファースト・アルバムをリメイクするって勘違いされていたけど、ファーストに刺激を改めて受けて、今の姿を出すために今作を作ったって感じ。デビューから今までオレたちが経験してきたこと、学んできたこと、感じてきたこと、ミュージシャンとして、そして男として成長してきたこと。そのオレたちの6年を今作に詰め込んだってわけさ」




5th Album
『THE PAPERCUT CHRONICLES II』
Now On Sale!!


――GCHの存在が広く世界に知られるきっかけとなったのは1収録で、パトリック・スタンプとの共演も話題となった“キューピットのいたずら”だったと思います。その後もブルーノ・マーズやアダム・レヴィーン(マルーン5)などとの共演でシーンを席巻するスタイル、キャッチーなトラック作りなどを思えば、この曲、そして1は、デビュー作でありながらGCHのクロニクルにおいて重要なターニングポイントに位置する作品だったように思いますがいかがでしょうか?
「そのとおり。まさにオレたちにとってはターニングポイントだった。それにあの作品はこの業界のすきまに入り込んだって思っている。ジャンル分け出来ないバンドの登場とそれを強く象徴する作品っていうね。当時、“オレたちはこういうバンドです”って言わずに、“とにかくこのアルバム聴いて、自分で判断してみてくれ”ってバンドだった。その精神は以降全ての作品に浸透しているよ。あのアルバムの成功を経てオレたちもバンドとしてより幅を広めようと努力するきっかけにもなった。オレはリリック面で引き出しを多くしようと自分をプッシュすることができたし」

――結果、バンドとして年々輝いていますね。
「ファースト・アルバムを聴いてもらえばわかるけど、オレたちは何がなんだかわからずにやってるって感じだったろ?でもそれが逆に上手くいった。ナイーヴだったし、ソウル・サーチングの途中だった。GCHがどういうものになるかさえわからずにやっていたんだから。でも月日が経って感じるのは、やっぱり、インディ・ロックから60's〜70'sのR&B、レゲエ、ヒップホップの影響を強く受けてきたオレたちが作る音楽は、それらの音楽の進化系なんじゃないかなって。オレたちは1つのタイプの音楽に偏ってない。オレはそういうバンドのメンバーでいることが誇りだし、ロックバンドやブルース・バンドやリル・ウェインのツアーをやったり、ケリー・クラークソンとラジオに出演したり、ポップス系のアーティストと活動しても、ファンがついてきてくれる。そんなこと普通のバンドじゃ無理だよな。それが出来るってことが嬉しいよ」

――あなたが楽曲作りにおいて大切にしていることとは?
「まず、クリアで的確な表現をすることを心掛けてる。何を言うかではなく、どういう言葉を使って表現するかが大切。ありのままをそのまま言うのは簡単だけどオレはそうはしない。そこからインスピレーションは受けるかもしれないけど、自分らしい言葉や表現を見つけるんだ。それとユーモアも含めるようにする。”ステレオ・ハーツ”のように、面白い表現でありながら、誰もが共感できるようにね。それとありきたりなことは避けているよ。ホットな表現や音、スタイルがあると、特にヒップホップの世界では、同じことをマネしてやるよね。それは出来るだけやらないようにしている。2011年は一言パンチラインが流行ったよね。同じ言葉ばかりを使ったりするのはイヤだから、よく耳にしたりする言葉に気づくと、オレは絶対にこの言葉(表現)は使わない、って自分に誓うんだ(笑)。いわゆる、絶対にウケるフロウは避けるようにしている」

――トラヴィーさんにとってGCHとは?
「オレの逃げ場。オレのセラピー、オレの愛人(笑)。バレることを心配しなくていい愛人(笑)。それと同時にGCHはオレの母であり、父であり、兄弟。これまでの人生の半分をともに過ごしてきたんだぜ、このバンドでさ。マジで。だって、2011年にオレは30になったけど、バンドを始めたのは97年だから、約15年になるからさ。バンドはオレのすべて、と言っても過言ではないよ」

――最後に、“アス・バック・ホーム”のリリック・ビデオがすごくキュートでした。日本では裸にエプロンが男心をくすぐる女性の姿としてポピュラーなのですが…。
「ホント?日本でもそうなの?裸でエプロンはオレの一番のファンタシーさ!!!当然だろ!(爆笑)」

GCHの最新作『THE PAPERCUT CHRONICLES II』が好評発売中!

■LINK: オフィシャル・サイト / Warner Music Japan / Decaydance Records