鉄拳の威力を鍛え上げ続ける
FIVE FINGER DEATH PUNCHによる、新たな試みとは?


これまでの3作品すべてが本国アメリカでゴールドディスクを獲得
する等、もはやメタル・シーンの大将格にまで上りつめた
FIVE FINGER DEATH PUNCH。そんな彼らの放つ新作は、なんと
2枚に分かれた連作。時間をかけて確立したポジションに満足する
ことなく突き進むバンドのこれからについて、ゾルタン・バソリ(g)
に話しを聞いた。

――4枚目の新作『THE WRONG SIDE OF HEAVEN & THE RIGHTEOUS
SIDE OF HELL Vol.1』のリリース目前ですね。今回は『Vol.1』と『Vol.2』に分か
れた連作ですが、こういったリリース形態は、バンドにとって大きなチャレンジだ
と思います。心境はどうですか?
こうやって4枚目、5枚目の作品をリリースするだけのキャリアを迎えると、バンド
を取り巻く状況も面白くなってくるよ。順を追って考えてみよう。デビュー作は自分
たちのキャリアをスタートさせるとともに、世界中に向けてバンドが自己紹介をし、
コミュニケーションを図る役割を持っていた。2枚目では、デビュー作でつかんだ
成功が本物かどうかを試すというか、自分たちの価値を示さなくてはならなかった。
そして3枚目では、自分たちの信念や、どんなことを伝えたいのかをより明確にさ
せた。こうしてキャリアをたしかなものにしていったわけだよ。そうして続く4枚目は、
興味深い位置になるんだ。例えば商業的な方向に走ってしまうと“アイツらは自分
たちの出自を見失った”と批判される。でもヘヴィになると“キャッチーさを失った”と
言われる。また前作と同じ路線だと“今までと何も変わっていない。成長していない”
とみなされてしまう。だから核となる部分をキープしつつ、それまでとは何かが違う
作品を作らなければいけないんだ。そこでオレたちが試みたのは、アルバムのごく
一部分で新しく実験的なことを取り入れてみることだった。今回はアルバム全体の
30%で、いろいろと曲をプログレッシヴでドラマティックにする実験をやってみたんだ。
さすがに全曲でそんなことはやれないけど、普段と違ったことを試すには十分だっ
たよ。むしろ、これ以上やったらバランスを崩してしまっていたかもしれない。

――たしかにところどころで新しい試みは取り入れられていますが、ヘヴィかつ
メロディアスなFIVE FINGER DEATH PUNCHらしさはキープされていますね。
これまでの3作品のいいところは、そのまま活かしたかったんだ。それぞれの作品
の強みを、極限まで高めた。バンドは、なんだか完璧なマシンになったかのようだよ。
間違いなく、これまでで最高のアルバムだね。

――新作の続編である『Vol.2』は秋にリリースだそうですね。この2枚の新作は、
どのような関係にあるんでしょうか?
今回の2枚は、いわゆるコンセプト・アルバムとはまた少し違うものだね。続きものと
いうよりは、お互いが関連し合っているといった方が正しいかな。とはいえ、全体を覆
うテーマはあるよ。漠然としたものだけどね。これまでは地域や国ごとに違った意見
や考え方があったのが、今やテクノロジーの急速な発達によって、世界はひとつに
なって、様々な意見や知識を共有することができるようになった。でもそのおかげで、
誰もが自分の意見だけでなく、他人の意見を聞くにも責任を持たなければならない
ようになったんだ。何事も自分で確かめろ。聞いたことをそのまま鵜呑みにするな、
ということだね。
リリースのタイミングには気を使ったよ。いきなり全部出しても、みんな曲を聴くのに
時間がかかってしまうし、逆にあまり時間を空けたら、これまでの作品と変わらなく
なってしまう。みんなに、それぞれの曲をしっかり解釈してほしかったんだ。

――『Vol.2』は、内容的にはどんなものとなっているんでしょうか?
さっきも言ったように、この2作品はお互いに関連し合った作品なんだ。だから作風も
かけ離れたものではないよ。同じ領域に踏み込んでいると言っていい。流れとバラン
スには気を配ったから素晴らしいものになったけど、ぶっちゃけ、オレの好きな曲の
ほとんどは『Vol.2』に入っているよ(笑)。


文・望月裕介/text by Yusuke Mochizuki





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 FIVE FINGER DEATH PUNCH
 『THE WRONG SIDE OF HEAVEN &
 THE RIGHTEOUS SIDE OF HELL Vol.1 』
 7/31発売