かなり酔っ払っててもしっかりと応えてくれた、
ベンという男とは?(笑)

ZEBRAHEADがPUNKSPRINGに4度目の出演を果たした。演奏終了ジャスト1時間後にベン・オズモンドソン(b,vo)と対峙し、話を聞いた。自分も言ってるとおり、彼は早くもでき上がってた(笑)。


(C)PUNKSPRING All Rights Reserved.

――ライヴ、めちゃよかった。楽しかったよ!
「オレもスゴく楽しかったよ!」

――それはよかった。
「マジで楽しかった! 神戸じゃステージでいろんな技術的な問題が起きたんだ。イヤーモニターが故障しちゃったからなかった。なにも聞こえずのプレイだったから、もうほとんど勘でやるしかなかったよ。エドの隣に立ち音を聴きながらさ。だけど今日は全部大丈夫でうまくいってなによりさ。だからこんなに酔っ払ってるんだ(笑)。先に謝っとくけどさ…最低なくらい酔いつぶれてるよ、オレは (笑)」

――言わなくてもわかるって(爆)。オープニングSEとして『崖の上のポニョ』(2008年)の主題歌を使ってたね。ありゃウケたよ(笑)。
「いい映画だもん、そりゃ使うさ!」

――前も使ってたっけ?
「確か5、6年前に一度使ったことがあったんじゃないかな。今回使うのは今日決めたんだ。いつもはTEAM AMERICAの“America, Fuck Yeah”を使うんだけど、今日はあの主題歌の方がよかったんだ。そっちの方がスペシャルじゃん。スゴくいい映画なんだから。あの映画観た?」

――ううん、観てない。
「ウソだろ? 観なきゃダメだよ、クレイジーな映画なんだから!オレは大好きさ」


(C)PUNKSPRING All Rights Reserved.

――セットは40分って短かったね。
「なんたってベスト盤『GREATEST HITS?-VOLUME 1』(2015年)と、前作『WALK THE PLANK』(2015年)で4回も来日したんだよ。5時間もプレイしたいと思う?思うよな(笑)」

――それPINK FLOYDの1.5公演分の長さ(笑)。
「そうだよな。とは言いつつもっと長くやれればよかったけど、ベスト盤と前作で4回も来日できたんだからとにかくハッピーさ。今回のPUNKSPRINGへの出演はこっちから持ちかけた話じゃなかった。主催者側からのオファーだったからとにかく嬉しかったね。“アナタたちはPUNKSPRINGの理想を体現してるバンドなので最後にプレイしてほしい”って言ってもらえたんだよ。ここんとこ来日が続いてるのは知ってるけどぜひきてほしいって。ふたつ返事でYesと言ったさ。そうせずにはいられなかったしね」

――“Playmate Of The Year”はオリジナルヴァージョンよりテンポが速かったね。意図的に?
「ライヴじゃどの曲もテンポアップする。昔の曲は録音時のスピードがちょっと遅すぎた気がするから、ライヴじゃスピードアップしてる。今の曲もまだちょっとノロいけど。っていうか、オレたちが前よりバカになったからかもしれないけどさ(笑)。ライヴじゃ、このテンポであのときレコーディングすればよかったってスピードでやってるんだ」

――PUNKSPRINGは今回で4回目の出演だね。
「で、SUMMERSONICは10回くらい(笑)。どっちのフェスも最多出場記録持ってるんじゃないかな」

――知ってのとおりPUNKSPRINGは今回が最後でね。なにか特別な想いとかあった?
「オレとしては寂しいね。このバンドでたくさんの思い出があるし。パンクロックフェスは世界中にあるけど、PUNKSPRINGはそのなかでもトップレベルにクールだなってプレイするたびに思う。だから寂しいけど、これからまたクールなことがやってくるような気がするよ。まだみんなが知らされてないだけでさ。なんとなくわかるんだ。PUNKSPRINGは終わってしまうけど、なにか新しいことが始まろうとしてるんじゃないかな。だからみんないずれハッピーになるさ」

――過去3回出演時のいい思い出とは?
「毎回いい思い出さ。オレ、今かなり酔っ払ってるから謝っとくけどさ(笑)。PUNKSPRINGは毎回魔法みたいなんだ。今日は今まで見たこともないほどたくさんの人がきてくれた。観客後方の終わりがステージから見えなかったんだから。最高だったね」

――SUMMERSONICとPUNKSPRINGって全然違うでしょ?
「SUMMERSONICは最悪なくらい暑い(笑)」

――だよね (笑)
「そう、マジで暑い!オレはデブだからなおさらツラいんだよ。SUMMERSONICでプレイする前は、家の近くをジョギングしないといけないんだ。こっちにきたら暑いし、体調維持も容易じゃないから。だけど今は体重を落としたからだいぶ調子がいいんだ」

――ヨーロッパ各国で毎夏開催されるフェスにも頻繁に出てるじゃない。向こうも暑いでしょ?
「No!ずっと涼しいさ。日本の夏はものスゴく暑い。湿気がヒドい。だけどSUMMERSONICにもなにかしら魔法みたいなものがあるんだよ。それがなにかはわからないけど、毎回プレイしたいと思わせるなにかがあるんだ。そういう気分にさせられるのは日本だけのような気がする。最高さ。キミも知ってると思うけど、日本はオレのお気に入りの国だからさ」

――うん、イヤというほど知ってるよ(笑)。で、バンド結成からもう21年になるね。
「うん、長いよな。オレたちはラッキーなんだよ」

――運だけじゃないと思うけど、普通ベスト盤とアルバム発売で4回も来日できないから。ここ2年間で結果的に日本を集中的に攻めたことになるわけでさ。
「日本にいける機会っていうのは、オレにとっちゃいつだっていい機会なんだ。オレは大学時代、日本語学科をとってた。日本人のガールフレンドを作りたくてね。彼女のお母さんが日本語しか話せなかったから、お母さんとも話したかった。で、大学で日本語の話し方を覚えた。今じゃ悪い言葉しか知らないけど(笑)…まだ学んでるんだよ」

――普段使う言語とき違う言語を学ぶ場合、そういう動機って必要だし、原動力になるよね(笑)。
「前はひらがなやカタカナもちょっと書けたけど、今は口汚い言葉しか喋れない(笑)。それでも日本にいく前には家で必ず予習・復習してるんだぜ。とにかく、どんな機会でも日本にこれるのは最高さ。文化も、人も、なにもかも気に入ってるんだ」

――で、次作を出したらまた来日すると(笑)。
「今ちょうどレコーディング中なんだ。すでに新曲が60曲くらいあって、それを24曲に絞り録る。できいかんによっちゃ次作は2枚組にするかもしれない。今までにないくらい楽しみさ。新曲群をとても気に入ってるからね。今までで一番ヘヴィな曲がある。あまりにもヘヴィだからみんな怖がるかもしれないよ。だけど同時に、今までで一番メロウな曲もある。あらゆるもののスペクトラムだね。ハードコアも大好きだけど、メロウなものも大好きだから」

――前作参加でダン(・パーマー/g)にとってはZEBRAHEADとして2枚目じゃない。前作のトップを飾る“Who Brings a Knife to a Gunfight?”で彼はシタールを弾いてるけど、習得するのが難しいシタールを独学で学んだんだよね。
「そう、アイツはかなりスゴいギタリストさ」

――彼がZEBRAHEADにもたらした音楽的なものとは?
「世界中を旅することのワクワク感をもたらしてくれてると思う。世界中の人々に心から思ってもらえることの。これだけ長い間バンドをやってると、新しい人が必要になる。“オマエたちはあり得ないくらいラッキーなんだぞ。どこの国にいっても、みんながオマエたちのことを思ってくれてるし、待っててもくれてる。作品も買ってくれてる…。それがどれだけありがたいことか、オマエたちはわかっちゃいない”って言ってくれる人が必要なんだ。アイツはオレたちにそれをやってくれたんだ、本当に」

――説教されたんだ(笑)。
「(笑)。オレたちはホントに恵まれてる。オレたちの仕事はビールを飲んでライヴをやることなんだぜ?ダンもオレたちと同じくらい長いキャリアの持ち主だ。だけどオレたちほどラッキーじゃなかった。だからアイツが加わったとき、なにもかもアイツにとっちゃ驚きだったし、また新鮮でもあった。“こんなにたくさんの人の前でやるのか?”とかさ。それでオレたちも“なんてこった、オレたちってそんなにラッキーだったんだ!”って思い知るんだ」

――互いに刺激し合ってるんだね。いい関係なんだね。
「ダンのことを好きじゃないヤツなんてひとりもいないよ。アイツは最高にナイスガイだけど、今まで見たこともないくらいクレイジーなヤツでもあるんだ(笑)」

――どんなところが?(笑)
「アイツは朝日が昇ってくるまでパーティしてるんだ。それで一睡もしないままサウンドチェックに突入してもニコニコしてる。オレが今までの人生で出会ったなかでも最高にクレイジーだ(笑)。アイツは睡眠なんて必要としてない。毎晩酒を飲んでパーティするのがとにかく大好きだ。オレから見たら狂気の沙汰さ(笑)。一体どうやってるのか見当もつかない。とてもじゃないけど、アイツみたいには生きられない。つまりクレイジーのレベルがケタ違いってこと。こんなことがあったんだ。フランスで、朝6時に起きなくちゃいけなかった。ラジオ局でアコースティックライヴをやるためにね。みんな“Fuck!困ったもんだゼ!”なんてブツブツ言ってた。だけどダンは“わかってないなあ…ラジオでアコースティックでプレイするようリクエストがくるほど気にかけてもらってるんだぜ?同じことをやりたい人が世のなかには何百万といる。オレたちはそういうリクエストをしてもらえるくらいラッキーなんだ”って。そう言われとき“困ったもんなのはオレたちの方だ”って気づかされたね。もっと早くに気づくべきだったんだ。アイツはそういう気持ちをオレたちにもたらしてくれる。顔を平手打ちされたような気になったよ」

――次作の音楽的方向性は?
「今回、これほどビッグなことをやったことがないから。今まで以上にヘヴィなものを、今まで以上にメロウなものと組み合わせてる。気に入ってもらえることを願ってるよ。オレたちはとても気に入ってるから、みんなに聴いてもらいたくてワクワクしてるんだ。だけど時間をかけて作るよ。なにしろ曲数が多いし…なにが起こるかわからないしさ」

――これまでも“ZEBRAHEADらしさ”はブラさずも、毎作品毎作品で新しいことをやり、新たな扉を開いてきたじゃない。ある意味、次作もその延長線上かな?
「ああ。だから作ってて楽しいんだ。チャンスには賭けないといけない。じゃないとあまりに退屈になってしまう。人を驚かせるのも楽しさの一部さ。“これは一体なんなんだ?”って思わせるのがね。次作にも“一体なにが起こってるんだ?”と思わせるところがある。その一方で、実にオレたちらしい音に聴こえるところもある。とにかくスペクトラムが壮大なんだ。個人的にはオレたち史上最高の傑作になると思うね」

――最後に日本のファンにメッセージを。
「いつもどうもありがとう。日本がオレのお気に入りのツアー先なのは間違いないよ。オレが金持ちだったら絶対に日本に住むね。だけど…ここに住むには金がかかりすぎる。この国は家賃相場を下げないと(笑)。それから酒代もだよ!ここは高すぎる。東京でバーなんかいった日にゃ…飲み代すら出せないよ。なんて最悪なことなんだ!(笑)」


(C)PUNKSPRING All Rights Reserved.



取材/文・有島博志
翻訳・安江幸子