ワンマンシリーズ・ファイナル!新旧の楽曲を織り交ぜた10-FEETの迫真のライヴリポートをお届け!

昨秋にリリースした『Fin』が好調な10-FEET。ツアーのワンマンシリーズ・ファイナルとなったZEPP TOKYO公演は2時間を超えるステージだった。アンコールなしと筋の通った一本勝負で駆け抜けた。


新作『Fin』をはじめて聴いたとき、過去作以上にバラエティに富んだ作品であると同時に、作品全体の統一感に驚いた。過去のどの作品とも違うコントラスト、結成20周年にして8枚目のアルバムは円熟味が増しよりエモーショナルになっていた。そして、昨秋幕を開けた”Fin” TOUR 2017-2018も今回で61本中26本目を数える。昨今、あっさりとツアーを終えてしまうバンドが多いなか、相当なレベルの本数だ。

GrindHous magazine Vol.104 に掲載した記事の取材でTAKUMAが「リリースした次の日には死ぬんや、とかそういう気持ちで取り組みたかったんです」、「これで最後やってどれだけ思って作れるかっていうところをこだわり続けてきたっていう作品でもあるので」と発言していた。そういった思いが本作や今回のライヴにも顕著に現れているような気がしたし、『Fin』というタイトルを名付けたことも十分に納得がいく。この夜も気合の入れようは十二分だった。

19時10分頃場内が暗転し、”ドラゴン・クエスト”のテーマである、”そして伝説へ”が流れはじめた。荘厳な雰囲気が醸し出され緊張感が高まり、場内が一瞬静まり返った後、TAKUMA(vo,g)の叫び声が鳴り響いた。
新作と同様今日のライヴも”1 size FITS ALL”で幕を開けた。1曲とは思えないような、緩急ある展開にド頭から引っ張られた。TAKUMAの独特な韻踏みとNAOKI(b,vo)が複雑に鳴らすベースが絡み合う”火とリズム”、”SHOES”と立て続けに披露した。すでに場内では数多のモッシュピットとダイバーが発生しており、さらには発汗による蒸気が客席を覆っていた。 MCではTAKUMAが冗談を交えつつも感謝の気持ちを述べた。



続く、”十二支”ではイントロで猪突猛進なリフとメロディを聴かせながらも、NAOKIとTAKUMAが交互に歌う場面も。途中、KOUICHI(ds,cho)が照明とコラボし、ボケる場面は最高に可笑しかった(笑)。”夢の泥舟”や”太陽4号”など新作からの楽曲を中心に演奏しつつも、”STONE COLD BREAK”や”goes on”など旧作からの楽曲もバランスよく選曲されていた。優しさに包まれた”蜃気楼”と激しさ全開の”1sec.”と2曲続けて披露した。場内が観客の汗から発せられた蒸気と客電が混ざり合い、なんともいえない幻想的で叙情的な風景が広がっていた。TAKUMAから発せられる心からの叫び声、KOUICHとNAOKIのリズム隊のすべてが一丸となって観る者を圧倒した。アンコールなしの135分。一本筋で駆け抜けたライヴは気高く、そして力強かった。

こんなことを言ったら怒られるかもしれないけど、実は10-FEETを観たのは今回が初めて。学生の頃にチケットは取っていたものの、結局は行けず・・・。なんてことがあってそれ以来チャンスがなかったのだ。ライヴDVDでしか観たことがなかったものの、ひと昔前のエモーショナルで突撃していくような勢いではなく、昔に比べより人間味が増したような気もするし、ライヴも新作もすごく人間的だ。特に人の”負の部分”や”感情”を押し出した歌詞がよりリアリティを増し、なおかつ円熟味を感じさせてくれる。いい意味で聴いている人に対して入り込める余地、余裕があるようにも感じた。特にエクスプローラーのギターを斜めに構えているメタリックな姿とは裏腹にファンにメッセージを伝えるTAKUMAの姿は優しく、だけど威風堂々としていた。まだまだ、止まることを知らない彼ら。その先へ先へと進んでいって欲しい。




text by Yushun Shimaura
photo by HayachiN