この夜BABYMETALのこれまでの
ひと区切りと、新たな始まりを堪能した!

BABYMETAL
December 15th, 2015 at Yokohama Arena, Kanagawa

BABYMETAL WORLD TOUR 2015~THE FINAL CHAPTER OF OF TRILOGY 横浜アリーナ公演2日目を観た。

会場に向かう電車んなかでふと気づいた。LOUD PARK、SUMMER SONIC、OZZ FEST JAPANといったフェス参戦時のBABYMETALのライヴはこれまでに何度か観たことはある。だけど、いわゆる単独公演なるものを観るのは今回が初めて、ということを。『LIVE AT BUDOKAN~RED NIGHT & BLACK NIGHT APOCALYPSE』(2015年)などのライヴDVDを鑑賞し「なるほど、彼女たちの単独ライヴってこんな感じなんだー」と全体の、ホンの一部を掴みとりつつ想いを馳せ、膨らませるのと、実際に“生”を体験するのとじゃ異なる。いろんなものを目の当たりにし、直に浴び、気持ちが無限大に高揚するっていうのはなんにも増して格別で、喜びもひとしおだ。改めて、そうした“ライヴだけでしか味わえない、体感できない感覚”をこの夜味わえると思うとちょいと“ウ・キ・ウ・キ ド・キ・ド・キ”した。

最寄り駅の新横浜で降り、会場へいく道すがら“さまざまな人間模様”に出くわした。老若男女は言うまでもなく、親子連れも目立ち、なかには初老と思しき夫婦の姿も。YUIMETAL、MOAMETALよろしくの“ワナビー気取り”なツインテールで決めた女子たち、はたまた神バンドを模倣し、グレーのフェイスペイントをし、多少の血ノリも忘れず、ねずみ男のそれを思わせる衣装を身にまとったコスプレ女子たちもチラホラ見かけた。BABYMETALのファン層は思ってた以上に幅広い。会場内に足を一歩踏み入れた時点で、即「デカっ!」と。MY CHEMICAL ROMANCEの日本でのフェアウェルショウやMAN WITH A MISSIONを観て以来ゆえ、数年ぶりの横アリだ。そして客席内に入るやそこには絶景が広がり、尻込みするほどのスケール感の大きさを覚えた。3階席までビッシリ。どこを見回しても人、人、人…しかも多くの観客たちが黒T着用ゆえあたり一面が真っ黒だ(笑)。メタルフェスでよく見かける光景ながら、が、しかし“なにかか違う”のだ。その“なにかか違う”というのを感じ、キャパ13,000人を埋めつくす大観衆を吸い込む求心力に、今現在のBABYMETALのスゴさの片鱗を見せつけられた。あと1本COUNTDOWN JAPAN 15/16出演を残すも、BABYMETALの単独ライヴは年内この夜が最終となり、1年の集大成をも意味する。観客たちはもちろん、BABYMETALも気合い十分、みな一丸となって特別な夜にしたいと思ってる。SU-METALが言う。

「今年は2度目のワールドツアーを周らせていただき、初めていった国が多くありました。今年の目標は道なき道を進んでいくということだったのですが、自分が楽しいと思った音楽をたくさんの方に広めることができた1年でした」

開演予定時刻より10分程度押した夕方5時10分、突然客電が落ち、場内が暗転した。その途端、いろんな声が入り混じった大歓声が上がり、場内をつんざいた。ステージ両側の巨大スクリーンにいかにもな映像が流れ、BABYMETALの今日までの軌跡や今晩のライヴの意味合いを説く仰々しく神のお告げ的ナレーションがそれに乗った。いつものヤツだ。完璧にメタルならではの様式美的演出/展開だ。大観衆はその映像に釘づけになり、時折ナレーションに呼応する。そしてキーボード音と人声によって綴られるSE風イントロが続くや、さらなる大きな歓声が湧き、曲はBABYMETALのテーマ曲であり、アンセムでもあるお馴染みの“BABYMETAL DEATH”へと雪崩れ込んだ。神バンドによる、まるで突き出たかのように激しい演奏が加わった瞬間、特効が大炸裂し、ステージ上の全景が明るく照らし出された。ステージにはどデカい“女狐スフィンクス”が3体ドーンと鎮座し(84年発売のIRON MAIDENの5枚目『POWERSLAVE』のアートワークを想起させた)、客席に向けてせり出したように映るピラミッドの裾野に神バンドがいる。日を追って、徐々にかつ着実に神バンドは観る者側に寄ってきてる。

BABYMETALのライヴを初めて観たときに衝撃だったことのひとつに、ヘッドバンギングの仕方が彼女たち風であることが挙げられる。メタル的ヘッドバンギングとは曲のリズムに合わせて頭部/首を激しく前後に振る、頭部をグルングルン回しまくる、が普通、常識であり、グローバルスタンダードだ。しかし彼女たちのヘッドバンギングはそうじゃなく、リズムにジャストで乗り、頭部を軽快に左右に倒す。斬新だった。まるでバレーボールのフォーメーションのごとくAクイックだ、次はBクイックだと言わんばかりの寸分の乱れもない、よく統制のとれたダンスにはさらに磨きがかかり、西洋の操り人形の動きをイメージさせる、日本古来のお祭りの踊りを思わせる、あの独特なアクションは今じゃBABYMETALのトレードマークのひとつとすらなってるほど完成度が高い。これは間違いなく、『BABYMETAL』発売後から本格的にライヴの場数を踏み、神バンドと苦楽をともにしてきたことの証拠、賜物だ。

「BABYMETALとしてもYUIMETALとしても、この1年でもっとも楽しかったことは毎回のライヴです。お客さんと一体感を作れた瞬間、本当に幸せな気持ちになります。大変だったこともあり、体力です。ライヴとツアー移動に負けないように、今年は体力作りにも力を入れました」とYUIMETAL。

“BABYMETAL DEATH”から“ギミチョコ!!”“いいね!”と続く最中に、改めて神バンドのあり得ないくらいにバカテクな演奏力に何度となくうっとりさせられた。音数はめちゃくちゃ多い。尖りもヘヴィネスも超過激な音楽であるエクストリームメタルばりの領域、音圧だ。BABYMETALのファンになってからメタルという類の音楽を知り、聴いたという人は多いだろう。それでもそういう、ある意味“メタル初心者”たちがなんら抵抗なく、音源でもライヴでもBABYMETALに入れ込み、心底エンジョイでき、サポートし続けるのは、ひとえに凄まじいまでの演奏力からカッ飛ばされる超過激なバックの音楽と、フロント女子3人のビジュアル、可愛らしい歌声にアイドルちっくな歌詞、そして華麗なるパフォーマンスとの間に“絶妙なバランス感”があり、それが始終共存共栄してるからだ。BABYMETALのライヴはホントに楽しい。オモチャ箱をひっくり返したような、またはディズニーランドやユニバーサルスタジオジャパンのアトラクションを思い描かせる楽しさ、喜び、感動、つまり“極エンタメ性”が常々全方位的に放射され(しょっぱなの特効炸裂のほか、曲によっては何本もの火柱が上がった)、場面ごとや曲ごとに必ずや“起承転結性”をもって完結する。ポップアイコンな上わかりやすく、ちゃんと始まりと終わりを見せ、伝え、ひとつの流れを作っていく――幅広い層が好み、支持する条件のひとつだ。

会場に入る際に、この夜のセットリストを手渡された。本編で2曲新曲をやると、それには書かれてた。まだタイトルが決まってないようで、ただ新曲とのみある。最初に披露された新曲はアッパーチューンで既発曲にはないメロディ感のあるもの。続くもう1曲はテンポのハッキリした、スカと思しきギター刻みも入る曲。それぞれで披露された3人の女子のダンスの振りつけは、それまでとは少し趣が異なるものと思えた。“おねだり大作戦”後にこの2曲を演ったのだけど、正直それまでの観客たちのテンションはMAX値からしばしユルっとなった。当然だ。まだ誰も聴いたことがないから。だけどその後の後半エンディングに向けての持ち上げ、高揚させっぷりは見事たった。ここにBABYMETALの底力を見たような気がしたし、フロント女子3人と神バンドとの“バンド感”も前以上により強くなったと思えた。完全にライヴ体と化してた。

もともとは“アイドルとメタルの融合”というコンセプトの下始まったBABYMETAL。その起点や背景、そして音源やライヴからいずれ「メタルなのか、それともアイドルなのか?」の賛否両論が渦巻くのは想定内だったと思う。アイドルもメタルも各々に著しく違うストイック性を内包するだけになおさらだ。GrindHouse magazine Vol92に、初めてBABYMETALの記事を執筆した。それにアイドルを通った経験は皆無ゆえ、そっち方面は真っ暗と書き、BABYMETALはその存在からしてメタルかアイドルかの線引き、ジャンル分けが難しく、ひいてはそんなことは必要なく、まったく新しいエンタテイメントだと断言した。この夜ライヴを観てる最中、その想いはより明確かつ強固なものになった。しいて言えば、曲で歌われる歌詞が一番アイドルっぽいか。その一方で、アイドルの“三種の神器”と見ていい満面の笑みや、情感たっぷりのMC、その流れで感極まって泣き、流す涙なんてものはコレッぽっちもなく、シャープに、またスマートに歌い、ダンスを決めまくる。特に最近の写真などを見てると笑顔度がさらに薄まってきてる。これがほかの誰とも比較できない、いい意味で唯我独尊状態にあるBABYMETALという存在なのだ。YUIMETALがこう言う。

「カワイイとメタルを融合させたBABYMETALは、やることすべてが初めての挑戦で“なんじゃこりゃ!?”と驚きの連続でした。今はたくさんの経験をしてきたぶん、この3人でならどこまででもいけるという確信を持っています」

アンコールが1曲あった。タイトルの決まってない新曲だ。アンコールをまだ誰も知らない曲で締めくくるとは非常に稀だ。“女狐スフィンクス”が鎮座したところから彼女たちはゴンドラに乗り、アリーナ席上を一周し、もとのところに戻り、そのままステージを下り姿を消した。こうして1時間半強のBABYMETAL WORLD TOUR 2015~THE FINAL CHAPTER OF OF TRILOGY 横浜アリーナ公演2日目は終演した。その曲は『BABYMETAL』(2014年)にはないタイプのもので、いわゆるロッカバラード。その大掛かりな演出にはヤラれたし、曲調も興味深かった。この夜はこれまでのひとつの区切りであると同時に、新たな“壮大なるなにか”の始まりだということを如実に物語ってた。

改めて言うまでもない、BABYMETALの欧米での評価、人気がうなぎ上りだ。ヨーロッパの有力メタル誌『METAL HAMMER』が日本人アーティストとして初めて表紙に登用したのをはじめ、数多の有名フェスティバルからたくさんお座敷もかかった。欧米のバンドマンや、関係者と話すたびにBABYMETALの話が出てくることも決して少なくない。完全にキてるなによりの証拠だ。

「とても幸せなことだと思ってます。日本だけでなく世界の多くの人々から注目していただけて幸せです。BABYMETALの活動をしてると、音楽は世界共通なんだと、より感じることができます。どんな音楽でもジャンルでも、ワタシたちの音楽とパフォーマンスで驚いだり、笑顔になってもらえるととても嬉しいです。自分たちにしかできないことを表現していきたいので、これからも注目していただける存在になれるように日々努力と勉強をしたいです。“音楽は世界共通!!”。これは一番強く学べたことです。また、怖い見た目のメタルバンドさんが、実は優しくて暖かい人たちということも知りました。多くのアーティストの方々とご一緒させていただき“努力してる人は美しいし、カッコいい”。表現するすばらしさを知りました。やはり音楽はすばらしいと改めて感じました」とMOAMETAL。

「(『METAL HAMMER』誌の表紙を飾って)実感が湧くまでに時間がかかりました。メタル誌に名前を載せていただけるだけでもすごいことだと思ってたので、本当に嬉しく、メタル誌に認めていただけたことはワタシたちに大きな自信を与えてくれました」(SU-METAL)

この夜のフロント女子3人の一挙手一投足を見つつ思った。ティーンエイジャーには大変失礼な物言いとなってしまうかもしれないけど、彼女たちはとてもりりしく、力強く、とても体力をつけ、そして立派になった、と。その表情、顔つき、立ち振る舞いなどのすべてに克明に表れてた。日本はもちろん、世界各国を旅し、ツアーにツアーを重ねながら相当揉まれたからに違いない。そうじゃなきゃ来年4月2日にイギリスはロンドンの巨大な会場ウェンブリーアリーナでピン公演なんて張れるわけがない。それがBABYMETAL WORLD TOUR 2016のこけら落としで、同ツアーの最終公演として東京ドームでのワンマンライヴも決定してる(詳細は後日発表)。その前日の4月1日には約2年ぶりとなるニューアルバムも世界同時発売される。2016年もまた、BABYMETALはさらなる躍進、飛躍をとげるのは誰の目から見ても明々白々だ。

「今の目標はウェンブリーアリーナのライヴを成功させることです。また、今年活動をしててBABYMETALは3人だけじゃなく、神バンドさん、スタッフさん、そしてファンの方が集まってこそBABYMETALなんだということに気がついたので、チームBABYMETALみんなで信じる道を進んでいきたいです」と来年の抱負を語るSU-METAL。

で、前々から思ってた素朴な想いをぶつけてみた。「BABYMETALというユニット名は好きですか? 」と。するとMOAMETALからこう返ってきた。

「I LOVE IT!! BABYMETALという名前は、新しいメタルの誕生を意味し、召喚されたワタシたちにその名前を付けてくれました。BABYにはかわいいという意味もあります。最初始めたときは“メタルってなに?”とメタルを知りませんでした。メタル界で、BABYMETALでかわいい+メタルを広め、楽しいと思っていたければ嬉しいです。BABYMETALは最高の名前です」

そして、最後にティーンエイジャー用の質問もしてみた(笑)。「長く海外ツアーに出てると、ときにホームシックになりませんか?」と。MOAMETALが語った。

「いろんな国にいくと刺激がもらえて寂しくありません。その国の美味しいものを食べて、3人でいるので寂しくありません」

来年2016年もBABYMETALが楽しみだ。


text by Hiro Arishima
photography by Taku Fujii & MIYAAKI Shingo


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  • ■Set list■
  • 01. BABYMETAL DEATH
  • 02. ギミチョコ!!
  • 03. いいね!
  • 04. あわたまフィーバー
  • 05. Catch Me if you can
  • 06. ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
  • 07. ド・キ・ド・キ☆モーニング
  • 08. 悪夢の輪舞曲
  • 09. おねだり大作戦
  • 10. new song
  • 11. new song
  • 12. メギツネ
  • 13. イジメ、ダメ、ゼッタイ
  • 14. ヘドバンギャー!!
  • 15. Road of Resistance
  • -Encore-
  • 01. new song
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