THE BEAST TOUR FINALの熱い一夜をここにリポート!

HER NAME IN BLOOD
THE BEAST TOUR 2013
July 13th, 2013 at Shibuya club asia, Tokyo

だいぶ久方ぶりの音源となった6曲入り『THE BEAST EP』発売に伴うレコ発ツアー
THE BEAST TOUR FINALを観た。まさにファイナルに相応しい熱演、盛況ぶりが
繰り広げられた。

前身バンドでの活動歴を含むという前置きがつくのだけど、HER NAME IN BLOOD
(以下HNIB)のキャリアはほぼ10年に及ぶ。その間に発売した正式単独音源はたった
2枚のみ、2曲入りシングル『Confusion』(2010年)と、初フル作『DECADENCE』(同)。
スプリットEP発売やコンピへの参加も含めたとしても、10年もの長き活動歴を持つ
バンドにしては世に送り出した音源数は絶対的に少ない。それでもHNIBはライヴを
続けた。『DECADENCE』発売以降はさらにその本数は増えた。「音源を出さずして
ライヴ活動を続けるのは正直キツい」と言うバンドは実は少なくない。正直、自分も何
度か「HNIBはいったいなにを目的に、こうもライヴを重ねるんだろ? 音源制作/発売
からしばらく遠ざかってるのに」と思ったことがあるほどだ。その答えはまず、上記最
新音源『THE BEAST EP』にあった。同系多勢を楽勝で凌駕するほどの強靭なメタル/
ハードコア作に仕上がってた。そしてもうひとつの答えは、THE BEAST TOURで出さ
れた。HNIBは『DECADENCE』ツアーファイナルのときより数段屈強なライヴバンド
へと成長/進化してた。THE BEAST TOUR初日公演からジャスト3ヵ月ぶりの観戦だった。

CRYSTAL LAKE、CLEAVE、kamomekamome、Fear,and Loathing in Las Vegas
といった友情出演陣による好演を経た夜9時30分、予定より30分ほど遅れてHNIBの
ライヴは始まった。まず繰り出されたのが、ツアー初日と同じく『THE BEAST EP』のド
頭を飾る“UNSHAKEN FIRE”だ。TOPページの写真を見ればわかるだろう、最初っか
ら客席を激しいノリが支配し、あちこちから強い躍動感、臨場感が上がった。これは間
違いなく、今現在のHNIBに対するお客さんたちの大きな期待感の表れ、噴出だ。自分
は2階のバルコニーから観戦してたのだけど、そのお客さんたちとHNIBとの間で繰り
返される“せめぎ合い”が面白いようにハッキリと見てとれた。お客さんたちが熱い想い
をあらゆる方法でステージ上に向けてぶつけると、それを全身に浴びたHNIBはストロ
ングなパフォーマンスを介して“ファンたちへの愛”を放射する。その光景は、まさに攻めっ
攻めの押っせ押せ――。こうしたタイプの音楽のライヴに理屈やたわ言なんぞはいら
ない。“力”と“力”の正面衝突、倒すか倒されるかだ。これが高いテンションを生み、大き
な盛り上がりを創り出す。この夜、この特殊な盛り上がりが頭っから場内いっぱいに広
がってた。

Ikepy(vo)には前々からフロントマンならではの独特な“オーラ”を感じてたし、さらなる存
在感も備わり、説得力を増してた。以前に比べると、ずいぶんMCで喋るようにもなり、
より“フロントマン然としたフロントマン”へと器をデカくしてた。TJとDaikiのツインギター
隊の呼吸もバッチリで、重厚/重量感、そして尖りに満ち満ちたギタープレイを繰り出し
続けた。その3人をしっかり後方支援し続け、ときに引っ張ってもいくMakoto(b,vo)と
Umebo(ds)によるリズム隊も、前にも増して整合感、うねりに磨きをかけてた。
この5人が完璧なまでにひとつになり、始終お客さんたちの身も心もを掴み切ってた。
これぞ、屈強なライヴバンドのなによりの証であろう。

時折『DECADENCE』収録曲“REVOLVER”“DECADENCE”などを挟みながら結果的
に『THE BEAST EP』全6曲が披露された。カヴァーコンピ『PUNK GOES POP
VOLUME 4』(2012年)に提供された、サビパートを聴いて初めて誰の曲のカヴァーで
あるかがわかるLADY GAGAの“POKER FACE”も盛り込まれ、『THE BEAST EP』収録
曲のなかでもキーチューンである“WE REFUSE”で本編を締めた。そしてアンコールで
2曲演り、HNIBはこの夜のファイナル公演を終えた。

THE BEAST TOURに区切りをつけたものの、HER NAME IN BLOODは引き続きツアー
に出ている。そのりりしさ、屈強さ、強靭さにさらに拍車がかかることは誰の目から見て
も明らかだ。楽しみでならない。


文・有島博志/text by Hiro Arishima
photography by Tsuki Ukita


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  • ■Set list■
  • 01. UNSHAKEN FIRE
  • 02. THE PIERCING EYES
  • 03. REVOLVER
  • 04. DECADENCE
  • 05. CUT INTO PIECES
  • 06. GASOLINES
  • 07. DANCING WITH THE GHOST
  • 08. POKER FACE (cover of LADY GAGA)
  • 09. WE REFUSE
  • -ENCORE-
  • 01. THE HEARTLESS RAIN
  • 02. INVISIVLE WOUNDS
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