まさにラウドロックの激ヘヴィな部分を体感。
熱く濃いイベントの夜を徹底レポート!

pre-GrindHouse jamboree Vol.1
July 20th, 2013 at Shibuya club asia, Tokyo


第2回となるGrindHouse主催のライヴ・イヴェント“pre-GrindHouse jamboree”が、
4月6日の“Vol.0”と同様、渋谷club asiaで7月20日に開催。“Vol.1”に当たる今回は、
ジャンルレスなバンドたちが揃った前回とは一線を画し、T.C.L、UZUMAKI、MINOR
LEAGUE、DOIMOIと激へヴィな4組が集結した。
ライヴ前のDJでBABYMETALとMOTORHEADやANTHRAX等が交互にプレイされて
いたことが象徴的なように、昨今、ラウドロックは新たなベクトルに拡散するとともに、
そもそも何なのかを改めて考える時期にもある気がする。そういった意味でこのメンツ
からはブッキングの妙が感じられるし、各バンドによって激烈の相乗効果が生まれる
ことは必至。実際、熱く濃い夜だったと思う。


オープニングは、ナード・メタルを自称するDOIMOI。二村泰史(vo、g)、杉山明弘(g)は
ナイーヴな文科系メガネ男子といった感じだが、そうした風貌から想像される音とはまっ
たく違う(?) パフォーマンスが刺激的だった。アグレッシヴかつエモーショナルであり、
時にプログレッシヴで、どこか憎めない雰囲気も。ひと筋縄ではいかない存在感で、トッ
プバッターとしてイベントの起爆剤となった。
“オリンピック”“誓い”…小細工なしの熱演が続く。瞬間瞬間の感情の起伏が一音一音、
そして一挙手一投足に滲む4人。それこそ二村の首筋には何度も血管が浮き、次に声
を張り上げた瞬間にぶち切れるんじゃないかと思う場面も一度や二度ではなかった。

端的に言えば、真摯で無骨。ドラマティック&スリリングなダイナミズムが心に攻め入っ
てくるような約30分であり、その随所にはアーティスティックなインテリジェンスやセンシ
ティヴな一面が見え隠れした。加えて、「アリガトウゴザイマス。ハジメマシテ」と、杉山
による来日した外タレ風片言の日本語でMCするなど、キッチュなユーモア・センスも心
をくすぐる。
今後はメンバーの都合により、約1年ほどライヴ活動を休止するというDOIMOI。その間
も残りの3人は、じっくり曲作りを行うなど水面下で活動を続けるとのこと。この日も一度
観たら忘れることのできないインパクトを放っていただけに、一日も早い再始動が待たれる。

続いてはMINOR LEAGUE。SEが鳴り響いた瞬間からフロアには、腕を回したり体
をひねったりとガタイのいい野郎どもがストレッチ。場内の空気もグッと密度が濃く
なり、ステージは“高見”で激烈にスタートした。
まさにヘヴィ・ロックの醍醐味を体現するライヴ・パフォーマンスであり、時にSPAZZ
やHELLNATIONといったパワー・ヴァイオレンスを彷彿させるほどに凶暴。彼らは圧
倒的な突進力で場内を揺動し、ステージが狭く感じられるほどのテンションで40分弱
を駆け抜けていった。
お立ち台の上で観客に向けてアジテーションする柴田匠(vo)。そんな彼に呼応して
絶叫する大工原亨(vo)。さらに二人は、野生の本性を剥き出しにするようにお互いに
咆哮。その一方ではマイクをフロアに向けて歌わせたりと、ベテランらしく緩急のオー
ディエンス捌きで場内を自分たちのペースに巻き込んでいった。やはりそこらへんは
17年のキャリア。ラストを締めくくった“青い空”の大合唱からは、アグレッシヴさやヘ
ヴィさとともに、バンドと観客が一体となってのポジティヴなヴァイブも。とてつもなく
濃いものを観せてもらった気がする。
なお、柴田はMCで「初めて有島(博志)さんを知ったのは、(MINOR LEAGUE結成以
前に)テレビ神奈川でやっていたハードコアやラウドロックを紹介する番組」であり、
「同番組は自分に大きな影響を与えた」と発言。そう考えると、この日、GrindHouse
のイベントにMINOR LEAGUEが出演するというのも何とも不思議な巡り合わせであり、
同時に必然だったようにも思えた。

さらにUZUMAKIとベテランのステージは続く。彼らも96年結成で、MINOR LEAGUE
とは同期。改めて両バンドのライヴを比較すると、MINOR LEAGUEが「剛」だとしたら
UZUMAKIは「柔」の印象。そしてUZUMAKIは、ハイブリッドなダイナミズムによって
懐の深さを示すとともに、関西ノリのざっくばらんなコミュニケーション・スタイルにより
フロアとひとつになろうとした。
のっけから「フロアの前のほうにスペースがある。もう一歩、二歩前へ」とATARU(mc)
が呼びかけると、オーディエンスはその言葉に呼応。するとがすかさず「めっちゃ素直
やん」とJYU(effect vo)。さすがにこういった観客とのやり取りには、関西人に一日の
長がある。まあ、終盤での“THコミュニケーション”のコール&レスポンス、さらにはモッ
シュ・サークルを誘発する際に多少グダグダになった感はあったが、それもまた彼ら
らしくて◎。
“BLAZE OF GLORY”から“B.A.D.Z”まで全8曲。中でも「ここでヒップホップを」と、
この日のラインナップにあってヒップホップを出自に持つヘヴィロック・バンドとしての
自負をアピールする場面は印象的だった。
最後は「GrindHouse」のコール&レスポンスで場内が一体となり、飄々と含蓄のある
パフォーマンスは終了。繰り返しのようになるが、多元的なヘヴィ・グルーヴはジェット
コースターに乗っているかのようなスリル感が快く、また、飾らず人間臭いライヴだった。

そしてトリを務めたのは、初ステージから約6年と満を持して1stフル『Tremendous
CLassixx』を3月にリリースしたT.C.L。転換中から続々とステージ前には人が集まり
はじめ、フロア前方はあっという間にラッシュ時の満員電車状態に。筆者自身もまだ
まだ和やかな場内に嵐の前の静けさといった雰囲気を感じ、逸る思いで彼らの登場
を待った。
ダカダカ、バキバキ、ザクザク、ヴィエー。“Burst & Rise”でライヴの幕がきって落と
された瞬間、嵐の予感は実感へと変わった。トリプル・ヴォーカルを擁してのカオティッ
クなスラッシュ&ハードコア・サウンドは、重戦車が周囲にあるものをなぎ倒しながら
暴走する様を彷彿。WAGDUG FUTURISTIC UNITY等でお馴染みのKYONO(vo)、
GERONIMO、MGTのYAMADA(vo)を中心に強者が集結しての大人数の力業により、
オーディエンスは理性のタガを外され、ただただ熱狂の嵐に翻弄されるばかり。 中に
はプロレスのバックブリーカー状態に人を抱えてモッシュする野郎の姿も。さすがに
それはやりすぎだろうと苦笑いをしていると、仕事を忘れて(?)暴れるGrindHouseの
スタッフの姿が視界の隅に。おいおい…(笑)。

それこそ大人数、特に3人のヴォーカリストがあちこちでさまざまな感情をファスト&
ラウドな楽曲に吐き出す姿は、ステージ上で同時多発的に突発的な事件が起きて
いるかのよう。一瞬たりとも気を緩めることができなかった。
その一方では、80'sアメリカン・ハードコアのライヴ映像を観ているかのような感が
あり、根源的なハードコア・スピリットを改めて体感するようなパフォーマンスだった
ことも事実。疾風怒濤という表現がピッタリの痛快な40分弱であり、正直、自分もペン
とメモを放り出したくなる衝動を抑えるのに必死だったことを最後に記しておきたい。


熱っぽい余韻が支配する終演後の場内。筆者自身も、デザートの杏仁豆腐が入ら
ないぐらいに焼肉を食べた時のような気分でこの夜の名残に浸っていた。おまけに
渋谷駅に向かう道すがら、すでに海に行った翌日のような快い体の気だるさも。もち
ろんそういった感覚は、ラウドロックの“激ヘヴィ”な部分を存分に味わった証しだと言
えよう。さて、次回はどんな趣向のイベントとなることやら。


文・兒玉常利/text by Tsunetoshi Kodama
photography by Kana Tarumi


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