モッシュ、ダイヴ、スカダンスが止まらない
LESS THAN JAKEのスカパンクパーティ!

LESS THAN JAKE
September 18th, 2013 at Shibuya Club Quattro, Tokyo

軽快なスカのリズム、躍動感あふれるホーン、ファストでキャッチーなパンクチューン
がたまらないLESS THAN JAKEのサウンド。昨年、結成20周年を迎えた大御所バン
ドとはとうてい思えない気さくさとユルさ(←褒め言葉です)も、彼らならではの魅力だ。
曲を知らなくても楽しめるとっつきやすいメロディとおバカMCの応酬をフェスで耳にし
た途端、LESS THAN JAKEのファンになり、そのまま巨大サークルへ身を投じたなん
て人も多いはず。

そんなLESS THAN JAKEが、入手困難
だったEPをコンパイルした20周年記念
アルバム『GREETINGS & SALUTATIONS』
を引っさげ、ジャパン・ツアーを敢行。ファ
イナルの東京公演が行われたクラブクア
トロには暴れたがりのファンが所狭しと押
しかけ、充満する熱気がハンパない。そん
な中、サポートアクトのFEELFLIPが熱演
を繰り広げ、早くもサークルピットが発生。
舞台袖からロジャー(b,vo)が顔をのぞか
せ、うれしそうに観戦している。その笑顔
以上に気になったのが、ロジャーがこの日
着ていた「I ♡ NY」のロゴ入りTシャツ。NY
の文字の上にガムテープを貼って、「日本」
とマジックで書いてある(笑)。

フロアがいい感じに温まったところで、ついに
LESS THAN JAKEがステージに登場! オー
ディエンスがクリス(vo,g)、ヴィニー(ds)、ロ
ジャー、バディ(trombone)、JR(sax)の5人
を大歓声で迎える。オープニングの“Automatic”
で、いきなり会場はクラウドサーフィンの嵐と
化した! 続く“The Ghosts of Me and You”で、
フロアは大合唱の渦に。ロジャーは長いドレッ
ドを振り乱し、バディは叫びながら右へ左への
大騒ぎ。“Scott Farcass Takes it on the Chin”
“Look What Happened”“The New Auld Lang
Syne”と、おなじみのヒット曲に新しい楽曲を織
り交ぜながらバンドは爆走していく。
ひととおり馳せまわったあと、1本のウィスキー
と共に怒涛の客いじりが始まった。ライヴ前に
楽屋で取材した際、バディにウィスキーを勧め
られたが、そのときよりもボトル内の液体の量
が減っている(笑)。「そこのモヒカンのヤツ!」
「マスクの女の子!」「ジーザスヘアの男!」「そっ
ちのメガネ女子!」と、クリスがランダムに指名
した観客を次々とステージに招き、ショットを
飲ませていく。LESS THAN JAKEのライヴで
ステージに上がりたかったら、あるいは、ご相
伴に与りたかったら、顔や頭部に特徴をもたせ
るといいかも? うっかりアクビをしたファンは、
「眠いの? じゃあ、あと75曲やるよ」とクリスに
突っ込まれていたし、安定したパフォーマンス
力だけでなく、こうした観察眼の鋭さもファンと
の距離を縮め、うまくライヴの一体感を作り出
しているんだなと、あらためて感心してしまった。

高揚感をそそる楽曲を畳み掛けながらも、その
後も酒盛りは続き、早飲みコンテストでは女の
子がクリスのギターにビールを吹き出す事件に
発展。しまいには柵前のセキュリティスタッフま
でステージに上げて煽り、女の子とキスさせる
演出(?)まで飛び出す。そんなライヴだから、
フロアは常に爆笑と拍手の渦。笑ったり、跳ん
だり、踊ったり、シンガロングしたり、オーディエ
ンスも大忙しだ。それにしても、アメリカ人の観
客はメンバーと自由に会話をしすぎる(笑)。

2013年はLESS THAN JAKEの大ヒットアルバム
『ANTHEM』発売10周年ということで、本作収録曲
が多々披露されたが、その中でも“Motown Never
Sounded so Good”のサークルは凄まじかった! 
サークルピットがいくつも出現するのを目の当たり
にして感動したのか、「日本のみんながスカパンク
を好きでいてくれてうれしいよ。アメリカ人はジャス
ティン・ビーバーしか聴かないからさ」とロジャー。
ファーストアルバム『PEZCORE』収録の“Liquor
Store”など、古い楽曲でもフロアは尋常じゃない盛
り上がりで、LESS THAN JAKEのファン層の広さ
をあらためて感じさせる。
前半、おとなしめだったJRが『HELLO ROCKVIEW』
収録の“Nervous in the Alley”を境に激しく巨体を
揺らして踊りだし、オーディエンスもヒートアップ。メ
タリックなイントロが始まったと同時に、フロアのい
たるところからメロイックサインが高く掲げられ、“All
My Best Friends Are Metalheads”へ突入。クラウド
サーフの波が次々とステージに押し寄せ、バディが
うれしそうにビデオを回す。

ポップなメロディック・パンクと爽快なスカナンバーが
ほぼ交互にプレイされてきたが、本編の最後を飾った
のは、パワフルなホーンが最高に心地いい、キャッ
チーで疾走感あふれるパンク・ソング“Gainesville
Rock City”。この日一番の巨大サークルピットが生ま
れたことは言うまでもない。
その後、割れるようなLTJコールを受け、クリスがス
テージに再登場。アップビートで一気に駆け抜けた
本編とはうって変わり、アンコール1曲目はBLINK-182
のマーク・ホッパスとの共作で話題を呼んだ、LESS
THAN JAKEとしてはめずらしいビタースウィートな
ギターポップ曲“The Rest of My Life”だ。しっとり聴か
せたあとで、次にファーストアルバム収録の荒々しい
スカパンクソング“Quest Thinks We're Sell Outs”を
持ってくる流れはさすが!

オーディエンスを決して飽きさせない緩急
の付け方が秀逸で、ライヴ経験豊かなベ
テランならではのステージ運びだ。袖でラ
イヴを観ていたFEELFLIPのTOMOYA(vo,g)
もたまらず、ステージから思いっきりダイ
ヴしていた。
最後の“Plastic Cup Politics”では、何人
が人の頭の上を泳いでいたかわからない
ほど、フロアはもみくちゃの状態に。「ライ
ヴのあと、マーチャンブースに顔を出すか
ら声をかけてね。オマエらのワキのニオイ
を嗅いで、一緒に写真を撮るよー」と、クリ
スがMCで言っていたけど、汗とアルコール
で全身ベットベトになっていたファンからは、
さぞや芳しい香りが漂ったことだろう(笑)。

今回、11月12日にFat Wreck Chordsから
発売になる新作『SEE THE LIGHT』からの
曲は残念ながら披露されなかったけど、フェ
ス出演で近々また戻ってきたいとメンバーが
話していたので、再来日公演が早く実現する
ことを期待したい。クリスとバディが新作レコー
ディング秘話を語ってくれた最新インタヴュー
を11月末発行予定のGrindHouse magazine
Vol.81に掲載予定なので、そちらもどうぞお楽
しみに。



文・権田アスカ/text by Aska Gonda
photography by Lui Ambo


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